ばけものちょうば
化物丁場

冒頭文

五六日続いた雨の、やっとあがった朝でした。黄金(きん)の日光が、青い木や稲を、照してはゐましたが、空には、方角の決まらない雲がふらふら飛び、山脈も非常に近く見えて、なんだかまだほんたうに霽(は)れたといふやうな気がしませんでした。 私は、西の仙人(せんにん)鉱山に、小さな用事がありましたので、黒沢尻(くろさはじり)で、軽便鉄道に乗りかへました。 車室の中は、割合空(す)いて居(

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 新修宮沢賢治全集 第十四巻
  • 筑摩書房
  • 1980(昭和55)年5月15日