くろぶどう
黒ぶだう

冒頭文

仔牛が厭(あ)きて頭をぶらぶら振ってゐましたら向ふの丘の上を通りかかった赤狐(あかぎつね)が風のやうに走って来ました。 「おい、散歩に出ようぢゃないか。僕がこの柵(さく)を持ちあげてゐるから早くくぐっておしまひ。」 仔牛は云(い)はれた通りまづ前肢(まへあし)を折って生え出したばかりの角を大事にくぐしそれから後肢をちゞめて首尾よく柵を抜けました。二人は林の方へ行きました。 狐

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 新修宮沢賢治全集 第十一巻
  • 筑摩書房
  • 1979(昭和54)年11月15日