林芙美子(はやしふみこ)女史が北京の旅の帰りに京都へ寄った。秋の夜だった。成瀬無極(なるせむきょく)氏と一緒に私の家へ見えた。日本の対支外交や排日問題などについて意見を述べたり、英米の対支文化事業や支那(シナ)女性の現代的覚醒(かくせい)を驚嘆していた。支那の陶器の話も出た。何かの拍子に女史が小唄が好きだといったので、小唄のレコードをかけて三人で聴いた。 「小唄を聴いているとなんにもどうでもかま