あずまかがみのせいしつおよびそのしりょうとしてのかち
吾妻鏡の性質及其史料としての価値

冒頭文

吾妻鏡が鎌倉時代史の貴重なる史料なることは苟も史學に志ある者の知悉する所たり、若し未同書に接せざる人あらば史學會雜誌第一號に掲げたる星野博士の同書解題をよみて後同書を一讀せられよ、其記事の比較的正確にして且社會諸般の事項に亘り、豐富なる材料を供給すること多く他に類をみざるところなり。然れども同書は其性質及其史料としての價値に至りては未充分の攻究を經ざるものあるに似たり、今少しく愚見を陳して以て大方

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「史学雑誌 第9編第5、6号」1898(明治31)年5、6月

底本

  • 日本中世史の研究
  • 同文館
  • 1929(昭和4)年11月20日