えいがとみんぞくせい
映画と民族性

冒頭文

すでにある芸術を政治が利用して有効に役立てるということはいくらも例のあることであるが、政治の必要から新たにある種の芸術を生み出し、しかも短期間にそれを完成するというようなことはほとんど不可能なことで、いまだかつてそのようなことが芸術の歴史に記されたためしはない。 太平洋戦争が開始されて以来、外地向け映画の問題がやかましく論議せられ、各人各様の説が横行しているが具体的には何の成果もあがらな

文字遣い

新字新仮名

初出

「映画評論」1944(昭和19)年3月号

底本

  • 新装版 伊丹万作全集1
  • 筑摩書房
  • 1961(昭和36)年7月10日