あしかがじだいをろんず
足利時代を論ず

冒頭文

足利時代が多くの歴史家からして極めて冷淡な待遇を受け、單に王室の式微なりし時代、將た倫常壞頽の時代とのみ目せられて、甚無造作に片付けられて居つたのは、由來久いことである。されば若し此時代に特有なる出來事として、後世の研究者の注意を惹いたものがあるとすれば、それは書畫、茶湯、活花、又は連歌、能樂等に關係した方面に興味を持つた場合であるので、一口に之を評すれば骨董的興味から觀察した足利時代であつたので

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「藝文 第三年第十一号」京都大学文学部、1912(大正1)年11年

底本

  • 日本中世史の研究
  • 同文館
  • 1929(昭和4)年11月20日