あくたいのしんり
悪態の心理

冒頭文

一 葉村ヨシエと佐原あつ子とは、いづれもある官庁の文書課に勤めてゐるタイピストで、二人は採用試験のあつた日にはじめて口をきき、希望がかなつていよいよ役所に顔を出すと、そこでもまたお互に幸運をよろこび合ひ、それ以来まる三年、机を並べて仕事をしてゐる間柄である。 ヨシエの生れは北海道旭川で、父親は林檎と除虫菊の可なり大規模な農園を経営し、彼女が旧制女学校を終へると、東京に出て自分の好きな道へ進む

文字遣い

新字旧仮名

初出

「オール読物 第六巻第一号」1951(昭和26)年1月1日

底本

  • 岸田國士全集17
  • 岩波書店
  • 1991(平成3)年11月8日