はなもんどう |
| 花問答 |
冒頭文
一 父は旅行、母は買物、兄は散歩といふわけで、珍しく民子(たみこ)一人が、縁側で日向ぼつこをしてゐるところへ、取次も乞はず、義一がのつそり庭伝ひにはひつて来た。 「あら、だあれも出なかつた?」「呼んでもみなかつた。」「物騒ね。」「ねらつてゐる奴がゐるからな。」 さう云つて、東(あづま)義(ぎ)一は、民子の顔をじろ〳〵見直した。 「へえ、今日は日本の着物を着てるんだな。似合ふよ、なか〳〵。」「
文字遣い
新字旧仮名
初出
「婦人之友 第二十九巻第十号」1935(昭和10)年10月1日
底本
- 岸田國士全集 9
- 岩波書店
- 1990(平成2)年4月9日