かば
河馬

冒頭文

河馬の歌うす紅くおほに開(ひら)ける河馬の口にキャベツ落ち込み行方知らずもぽつかりと水に浮きゐる河馬の顏郷愁(ノスタルヂア)も知らぬげに見ゆこの河馬にも機嫌・不機嫌ありといへばをかしけれどもなにか笑へず赤黒きタンクの如く並びゐる河馬の牝(めす)牡(をす)われは知らずも水の上に耳と目とのみ覗きゐていぢらしと見つその小さきを    ×    ×わが前に巨(おほ)き河馬の尻むくつけく泰然として動かざりけ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 中島敦全集2
  • 筑摩書房
  • 2001(平成13)年12月20日