ひゃくしょうにっき
百姓日記

冒頭文

私の農事実験所 欧羅巴(ヨーロツパ)に漂浪のみぎり、私は五六年の間、仏蘭西(フランス)で百姓生活を営んで来た。馬鈴薯が枝に実ると思つた程無智な素人が、トマト、オニオン、メロン、コルフラワア((ママ))から、人蔘、カブラ、イチゴ、茄子、隠元、南瓜まで、立派に模範的に作れる様になつた。果樹の栽培もやつた。葡萄酒も造つた。林檎酒も造つた。町の人々が来て、私の畠を、農事試験場の様だと評したほど種々な

文字遣い

新字旧仮名

初出

「あをぞら」1926(大正15)年2月10日号、「農民自治 第2、3号」1926(大正15)年5月10日、6月25日

底本

  • 石川三四郎著作集第二巻
  • 青土社
  • 1977(昭和52)年11月25日