おちばにっき |
| 落葉日記 |
冒頭文
一の一 郷田梨枝子(がうだりえこ)は、叔母と並んで東京駅のプラット・フォームに立つてゐる。そして、今着いたその汽車から降りて来る筈の父親の顔をちつとも覚えてゐないのである。 「すぐ教へてね、叔母さま……。いやだわ、いろんな人が顔を突き出して……」「ああ、お待ちなさいつてば……。あたしだつて間違ふかも知れないよ」 心細い話だが、これも十年会はないうちに、兄がどんなに変つてしまつたか、さつぱり見当
文字遣い
新字旧仮名
初出
「婦人公論 第二十一巻第六号~第二十二巻第五号」1936(昭和11)年6月1日~1937(昭和12)年5月1日
底本
- 岸田國士全集11
- 岩波書店
- 1990(平成2)年8月9日