わかいこだま
若い木霊

冒頭文

冒頭原稿数枚なし 「ふん。こいつらがざわざわざわざわ云(い)っていたのは、ほんの昨日のようだったがなあ。大抵(たいてい)雪に潰(つぶ)されてしまったんだな。」 それから若い木霊(こだま)は、明るい枯草(かれくさ)の丘(おか)の間を歩いて行きました。 丘の窪(くぼ)みや皺(しわ)に、一きれ二きれの消え残りの雪が、まっしろにかがやいて居(お)ります。 木霊はそらを見ました。

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • ポラーノの広場
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1995(平成7)年2月1日