A! 女学校では、当時有名な話でありました。それは 『二時間目事件。』 といふのでした。 新学期がはじまつてから二ヶ月程後のある日、朝から二時間目の歴史の時間に起つたこと。と書きたてるほど大げさなことでもないのに、それをそれほど有名にしたのは、まつたく、その男の——つまり、その歴史の時間での先生である溝口文学士の性格によるのでした。 やんちや盛りの、何かことあれかしと、