ちんじょうふうん |
枕上浮雲 |
冒頭文
暖くなりしためか、静養の結果か、営養の補給十分なりしためか、痩せゐることは変りなきも、この数日総体に体力のやや恢復せるを覚ゆ。室内の歩行に杖を用ひず、階上への上り下りにも、さまで脚のだるきを感ぜず。別冊「歌日記」、余白なくなりたるを機会に、今日より新たなる冊子に詩歌を書きゆき、題名も新たに「枕上浮雲」となす 葉がくれの青梅ひびに目立ちつつやまひおこたるきざし見えそむ 人の書きし米国地理を見
文字遣い
新字旧仮名
初出
「河上肇著作集第11巻」筑摩書房、1965(昭和40)年
底本
- 河上肇全集 21
- 岩波書店
- 1984(昭和59)年2月24日