じろうものがたり 05 だいごぶ
次郎物語 05 第五部

冒頭文

一 友愛塾(ゆうあいじゅく)・空林庵(くうりんあん) ちゅんと雀(すずめ)が鳴いた。一声鳴いたきりあとはまたしんかんとなる。 これは毎朝のことである。 本田次郎(じろう)は、この一週間ばかり、寒さにくちばしをしめつけられたような、そのひそやかな、いじらしい雀の一声がきこえて来ると、読書をやめ、そっと小窓のカーテンをあけて、硝子戸(ガラスど)ごしに、そとをのぞいて見る習慣に

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 次郎物語(下)
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1987(昭和62)年5月30日