じろうものがたり 04 だいよんぶ
次郎物語 04 第四部

冒頭文

一 血書 「次郎さん、いらっしゃる?」 階段のすぐ下から、道江の声がした。 次郎はちょっとその方をふりむいたが、すぐまた机に頬杖をついて、じっと何か考えこんでいる。いつもなら学校からかえるとすぐ、鶏舎か畑に出て、夕飯時まではせっせと手伝いをする習慣であり、それがまた彼のこのごろの一つの楽しみにもなっているのであるが、今日はどうしたわけか、誰にも帰ったというあいさつもしないで、二階

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 下村湖人全集 第二巻
  • 池田書店
  • 1965(昭和40)年7月30日