じろうものがたり 03 だいさんぶ
次郎物語 03 第三部

冒頭文

一 運命の波 次郎の中学一年の生活も、二学期が過ぎて、新しい春がめぐって来た。入学試験に一度つまずいた彼は、もうそろそろ青年期に入ろうとしているのである。 青年期になると、たいていの人が、程度の差こそあれ、理想と現実との板ばさみになって、光明か暗黒かの岐路(きろ)に立つものだが、読者が、これまで、いくぶんせっかちだと思われるほどの気持になって知りたがっていたのも、恐らく彼のそう

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 下村湖人全集 第二巻
  • 池田書店
  • 1965(昭和40)年7月30日