かんがだん
観画談

冒頭文

ずつと前の事であるが、或人から気味合の妙な談(はなし)を聞いたことがある。そして其話を今だに忘れてゐないが、人名や地名は今は既に林間の焚火の煙のやうに、何処か知らぬところに逸し去つてゐる。 話を仕て呉れた人の友達に某甲(なにがし)といふ男があつた。其男は極めて普通人型の出来の好い方で、晩学では有つたが大学も二年生まで漕ぎ付けた。といふものは其男が最初甚だしい貧家に生れたので、思ふやうに師

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本現代文學全集 6 幸田露伴集
  • 講談社
  • 1963(昭和38)年1月19日