じんせいついにいかん
人生終に奈何

冒頭文

人生終(つひ)に奈何、是れ實に一大疑問にあらずや。生きて回天の雄圖を成し、死して千歳の功名を垂る、人生之を以て盡きたりとすべきか、予甚だ之に惑ふ。生前一杯の酒を樂しむ、何ぞ須ひん身後千載の名、人は只〻行樂して已(や)まんか、予甚だ之に惑ふ。蝸牛角上に何事をか爭ふ、石火光中に此身を寄す、人は只〻無常を悟りて終らんか、予甚だ之に惑ふ。吁、人生終に奈何。將(は)た人は只〻死するが爲に生れたるか。

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 日本現代文学全集 8
  • 講談社
  • 1967(昭和42)年11月19日