つきよのでんしんばしら
月夜のでんしんばしら

冒頭文

ある晩、恭一はぞうりをはいて、すたすた鉄道線路の横の平らなところをあるいて居(お)りました。 たしかにこれは罰金(ばっきん)です。おまけにもし汽車がきて、窓から長い棒などが出ていたら、一ぺんになぐり殺されてしまったでしょう。 ところがその晩は、線路見まわりの工夫もこず、窓から棒の出た汽車にもあいませんでした。そのかわり、どうもじつに変てこなものを見たのです。 九日の月

文字遣い

新字新仮名

初出

「イーハトヴ童話 注文の多い料理店」盛岡市杜陵出版部・東京光原社、1924(大正13)年12月1日

底本

  • 注文の多い料理店
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1990(平成2)年5月25日