おいのもりとざるもり、ぬすともり
狼森と笊森、盗森

冒頭文

小岩井農場の北に、黒い松の森が四つあります。いちばん南が狼森(オイノもり)で、その次が笊森(ざるもり)、次は黒坂森、北のはずれは盗森(ぬすともり)です。 この森がいつごろどうしてできたのか、どうしてこんな奇体(きたい)な名前がついたのか、それをいちばんはじめから、すっかり知っているものは、おれ一人だと黒坂森のまんなかの巨(おお)きな巌(いわ)が、ある日、威張(いば)ってこのおはなしをわた

文字遣い

新字新仮名

初出

「イーハトヴ童話 注文の多い料理店」盛岡市杜陵出版部・東京光原社、1924(大正13)年12月1日

底本

  • 注文の多い料理店
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1990(平成2)年5月25日