しんきょうしょかん
新疆所感

冒頭文

予が嘉峪関をこえて新疆を横断し、カラコルム山脈を超越しおわりしまでに費したる日数、約三百日、その間親しく天山山脈に沿う高原を視察し、タリム河に瀕する平野を踏査して、耳聞目睹したる結果は、五十八万方マイルの大宝庫、古来蛮雲のとざす所となりて、空しく草莱(そうらい)に委し、二百万の生霊、なお瘴烟(しょうえん)の裡に包まれて、いたずらに混沌として睡眠するの憐むべき情態にあると同時に、新疆の運命すこぶる悲

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 伊犂紀行 第二部 地誌の部
  • 芙蓉書房
  • 1973(昭和48)年2月28日