ふたたびやまへ
再び山へ

冒頭文

間もなく軍隊に入る。戦争に行く、そして山とは永久にお別れになる——。こうした残り少ない山生活が、なおどれだけの情熱に値するか? 大東亜戦争の始まる頃から、この懐疑は不断にまつわりついて、山へ出かける時にも、山を歩く時にも私を離れなかった。自分の幸福、他の者の幸福——他の者の幸福に基づく自分の幸福……。 軍隊に入る時は、よもや二度と生きて山を歩けるとは思わなかった。それはまた一つ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 風雪のビバーク
  • 二見書房
  • 1971(昭和46)年1月12日