おうごんのうでわ りゅうせいきだん
黄金の腕環 流星奇談

冒頭文

一 伯爵の別荘 流星の飛ぶのを見るのは、余り気味の好(よ)いものでは無い、シーンとした真夜中頃(ごろ)、青い光がスーと天空から落ちて来る有様は、恰(あたか)も人魂(ひとだま)でも飛んで来たよう、それが眼(め)に入(い)った瞬間は、誰(だれ)でもハッと思い、流星の落ちたと覚(おぼ)しき淋(さび)しき場所へは、余程の勇士でも、何(ど)うも恐ろしくて行き兼ねると云(い)う事だ。 然(しか

文字遣い

新字新仮名

初出

「少年世界」1907(明治40)年1月

底本

  • 少年小説大系 第2巻 押川春浪集
  • 三一書房
  • 1987(昭和62)年10月31日