じゅうねんごのラジオかい
十年後のラジオ界

冒頭文

「ときにAさん。」 「なんだいBさん。」 「十年経(た)ったら、ラジオ界はどうなる?」 「しれたことサ。ラジオ界なんてえものは、無くなるにきまってる。」 「へえ、なくなるかい。——今は随分流行(はや)ってるようだがネ。無くなるとは、ヤレ可哀相に……。」 「お前は気が早い。くやみを言うにゃ、当らないよ。僕はラジオ界がなくなると言ったが、『ラジオ』までが無くなるとは、言いやしない。」 「や

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年」1929(昭和4)年1月号

底本

  • 海野十三全集 別巻2 日記・書簡・雑纂
  • 三一書房
  • 1993(平成5)年1月31日