かがくがへそをまげたはなし
科学が臍を曲げた話

冒頭文

みなさん、科学(サイエンス)だって、時には気むずかしいことがありますよ。そんなときには、臍(へそ)を曲げちまいますよ、臍をネ。 童話みたいですが、昔、オーストリヤの王様が、世界最大のダイヤモンドを所有したいという欲望を持って、持っているだけのダイヤを全部坩堝(るつぼ)に入れて融合させようと思ったところが、もともと炭素のかたまりであるダイヤは、忽(たちま)ち一陣の炭酸瓦斯(ガス)と変じて、

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年」1934(昭和9)年9月号

底本

  • 海野十三全集 別巻1 評論・ノンフィクション
  • 三一書房
  • 1991(平成3)年10月15日