きちがい
狂女

冒頭文

実はねえ、とマテュー・ダントラン君が云った。——僕はその山※[#「鷸」のへんとつくりが逆、86-1](やましぎ)のはなしで、普仏戦争当時の挿話をひとつ思い出すんだよ。ちと陰惨なはなしなんだがね。 君は、コルメイユの町はずれに僕がもっていた地所を知っているだろう。普魯西(プロシア)の兵隊が押寄せて来た頃は、僕はあそこに住んでいたのだ。 その頃、僕のうちの隣りに、まあ狂女(きちがい

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • モオパツサン短篇集 初雪 他九篇
  • 改造文庫、改造社出版
  • 1937(昭和12)年10月15日