しかばねをくうおとこ
死屍を食う男

冒頭文

いろんなことを知らないほうがいい、と思われることがあなた方にもよくあるでしょう。 フト、新聞の「その日の運勢」などに眼がつく。自分が七赤(しちせき)だか八白(はっぱく)だかまるっきり知らなければ文句はないが、自分は二黒(じこく)だと知っていれば、旅行や、金談はいけない、などとあると、構わない、やっつけはするが、どこか心の隅(すみ)のほうにそいつが、しつっこくくっついている。 「あそ

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年」1927(昭和2)年4月号

底本

  • ひとりで夜読むな
  • 角川ホラー文庫、角川書店
  • 1977(昭和52)年10月15日