ぶつりがくかくしんのひとつのせんたん
物理学革新の一つの尖端

冒頭文

二十世紀は物理學革命の時期を畫してゐる。ニゥトン以來二百餘年、多少の波瀾を交へて徐々に進歩して來た物理學は、前世紀の末ごろ大なる障碍に逢うて、遂にその針路を轉換せねばならぬやう餘儀なくされた。 分子や原子に關する研究は、在來の方法では始末に終へなくなつた。第一の暗礁は輻射に關する法則であつて、波長が短くなるに從つて、エネルギーは著るしく集積してくる結果を、古式の理論は提唱した。しかし實驗

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「大阪朝日新聞」1932(昭和7)年1月4日

底本

  • 随筆
  • 改造社
  • 1936(昭和11)年11月20日