さいしょうにんげんのかい じんるいのあとをつぐもの
最小人間の怪 ――人類のあとを継ぐもの――

冒頭文

この秘話(ひわ)をしてくれたN博士も、先々月この世を去った。今は、博士の許可を得ることなしに、ちょっぴり書き綴(つづ)るわけだが、N博士の霊魂なるものがあらば、にがい顔をするかもしれない。 以下は、N博士の物語るところだ。 私は大正十五年十二月二十六日の昼間、霧島の山中において、前代未聞の妖怪に出会った。 当時私は、冬山における動物の生態研究をつづけていたのだ。

文字遣い

新字新仮名

初出

「にっぽん」1949(昭和24)年9月号

底本

  • 海野十三全集 別巻2 日記・書簡・雑纂
  • 三一書房
  • 1993(平成5)年1月31日