じぶんのへんたいしんりてきけいけん
自分の変態心理的経験

冒頭文

妖怪と云ふものが昔の妖怪話の妖怪畫などに現はれてゐるやうな異樣、奇怪、凄慘などの極端に誇張された存在でない事は、少くとも客觀的存在でない事は、今更ら云ふまでもない話であるが、これを精神上の一種の主觀的存在、云ひ換へれば、人間の幻覺或は錯覺としてみる時は確にあり得るもののやうに思はれる。と云ふのは、私としても心身が變態的な状態にあつた時にはそれらしい存在を二三度經驗した事があるからだ。その一度は大正

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「文藝市場 特集「妖怪研究」」文藝市場社、1926(大正15)年3月号

底本

  • 文藝市場
  • 文藝市場社
  • 1926(大正15)年3月1日