とき ところ ひと ――ねんとうざっかん――
時 処 人 ――年頭雑感――

冒頭文

芝居の脚本を書くのには、まず、標題のつぎに、その劇が行われる時と場所と登場人物とを、はつきり書きあげるのが定石である。 私はいま、ここで脚本を書くつもりはないが、年々歳々、違つた場所で正月を迎えるのが例のようになつてしまつた私の年頭感は、まず、ああ今年は、こんなところで年をとることになつたか! である。 いよいよ六十三回目の元日は、この小田原でということになると、第一回目の元日を東京四ツ谷

文字遣い

新字新仮名

初出

「日本経済新聞」1954(昭和29)年1月1日

底本

  • 岸田國士全集28
  • 岩波書店
  • 1992(平成4)年6月17日