ほうげんについて
方言について

冒頭文

私は方言の専門的研究家ではないが、人一倍その魅力に惹きつけられる。十人十色といふ言葉は、人間の個性は個々に色別し得ることを指すに相違ないが、同一国語を使ふ同一国土の中で、地方々々に特有の言語的風貌といふものがあり、それぞれ、その地方に生れ、育ち、住む人々の気風を伝へることに於て、これくらゐ微妙で、正直なものはない。 人間といふものは、兎に角、面白いものだ。どんなに単純な性格だといつても、

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻66 方言
  • 作品社
  • 1996(平成8)年8月20日