いちまいえのおんな
一枚絵の女

冒頭文

一 ご家人(けにん)の貝塚三十郎が、また芝山内で悪事をした。 一太刀で仕止めた死骸から、スルスルと胴巻をひっぱり出すと、中身を数えて苦笑いをし、 (思ったよりは少なかった) でも衣更(ころもがえ)の晴着ぐらいは、買ってやれるとそう思った。 歌麿が描いた時もそうだった。衣裳は俺が買ってやったものだった。春信が描いた時もそうだった。栄之(えいし)の描いた時もそうだ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 怪しの館 短編
  • 国枝史郎伝奇文庫28、講談社
  • 1976(昭和51)年11月12日