がくもんのじゆう
学問の自由

冒頭文

学問の研究は絶対自由でありたい。これはあらゆる学者の「希望」である。しかし、一体そういう自由がこの世に有り得るものか、どの程度までそれが可能であるか、またその可能限度まで自由を許すことが、当該学者以外の多数の人間にとって果していつでも望ましい事であるか。こういう問題を、少し立入って考究し論議するとなると、事柄は存外複雑になって来て、おそらく、そうそう簡単には片付けられないことになるであろう。あるい

文字遣い

新字新仮名

初出

「鉄塔」1933(昭和8)年9月1日

底本

  • 寺田寅彦全集 第五巻
  • 岩波書店
  • 1997(平成9)年4月4日