やまへのぼったまり
山へ登った毬

冒頭文

史朗は今度一年生になりました。まだ学校へ行く道が憶えられないので、女中が連れて行きます。女中は史朗の妹を背に負って行くのでした。妹は美しい毬(まり)を持っています。その毬は姉が東京から土産に買って来たものでした。毬には桃の花の咲いた山の絵が描いてあります。 さて、ある日、先生が「今日はこれから山へのぼりましょう」と申しました。皆はそれでワイ〳〵と喜びながら、学校の門を出ました。山は学校の

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 原民喜戦後全小説下
  • 講談社文芸文庫、講談社
  • 1995(平成7)年8月10日