じてんしゃじょうのきなん |
自転車嬢の危難 |
冒頭文
一八九四年から一九〇一年までの八年間は、シャーロック・ホームズは、とても多忙な身であった。 この八年間に、公の事件で重大なものは、一つとしてホームズのところに、持って来られなかったものはなかったし、またその外(ほか)に私的の事件で扱ったものは、無数で、その中(うち)でも、実に錯綜した難問題で、颯爽たる役目をやったものもたくさんあった。この雑多の仕事の中では、もちろんその大部分は、赫々(か
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 世界探偵小説全集 第四卷 シヤーロツク・ホームズの歸還
- 平凡社
- 1929(昭和4)年10月5日