たがつみ
誰が罪

冒頭文

その一 『監獄といへばあたまから、善人の行くべき処でないと思ふ人が多い。なるほどそれは国事犯者の少数と、ある一二の項目に触れて禁錮された、人々とを除いたならば、まるつきり、純潔無垢なるものの、行くべき処でないには相違ない。さらば青天白日とかいふ、監獄の外に居るものは、既往と将来とは知らず、現在では、純潔無垢なものばかりかといふに、なかなかさうはゆかぬてや。この中にはかの有名なる、判官の弄花事件も

文字遣い

新字旧仮名

初出

「世界之日本」1897(明治30)年7月

底本

  • 紫琴全集 全一巻
  • 草土文化
  • 1983(昭和58)年5月10日