りきゅうとえんしゅう
利休と遠州

冒頭文

一 むかし、堺衆の一人に某といふ数寄者がありました。その頃の流行にかぶれて、大枚の金子を払つて出入りの道具屋から、雲山といふ肩衝(かたつき)の茶入を手に入れました。太閤様御秘蔵の北野肩衝も、徳川家御自慢の初花肩衝も、よもやこれに見勝るやうなことはあるまいと思ふにつけて、某はその頃の名高い茶博士から、何とか折紙つきの歎賞の言葉を得て、雲山の誉れとしたいものだと思つてゐました。 機会は

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 泣菫随筆
  • 冨山房百科文庫43、冨山房
  • 1993(平成5)年4月24日