いちせいねんいようのじゅっかい
一青年異様の述懐

冒頭文

恋愛を知らずして、恋愛を画(えが)くは。殆んど素人の、水先案内をなすが如し。いはんや、異性の人の、恋愛においてをや。されどかれは、誤れば人命を傷(そこな)ふの恐れあれど、これは間違へばとて、人の笑ひを招くに止まると、鉄面にものしぬ。予は敢へて、恋愛を説くといはじ。ただその一端はかくやらむと。疑ひを大方に質(ただ)すのみ。 つゆ子しるす 予は何故に、彼女のこと、かほどまでに、

文字遣い

新字旧仮名

初出

「女学雑誌」1892(明治25)年10月15日

底本

  • 紫琴全集 全一巻
  • 草土文化
  • 1983(昭和58)年5月10日