きたむらとうこくのみじかきいっしょう
北村透谷の短き一生

冒頭文

北村透谷君の事に就ては、これまでに折がある毎に少しずつ自分の意見を発表してあるから、私の見た北村君というものの大体の輪廓は、已(すで)に世に紹介した積りである。北村君の生涯の中の晩年の面影だとか、北村君の開こうとした途(みち)だとか、そういう風のものに就ては私は已にいくらか発表してある。明治年代も終りを告げて、回顧の情が人々の心の中に浮んで来た時に、どういう人の仕事を挙げるかという問に対しては、い

文字遣い

新字新仮名

初出

「文章世界」1912(大正1)年10月

底本

  • 現代日本文學大系 6 北村透谷・山路愛山集
  • 筑摩書房
  • 1969(昭和44)年6月5日