けっかくしょう
結核症

冒頭文

おなじ結核性の病で歿(ぼつ)した近ごろの文学者でも、やはり行き方に違ふところがあるやうに思ふ。正岡子規とか国木田独歩とかを一つの型(かた)と看做(みな)せば、高山樗牛(ちよぎう)とか綱島梁川(つなしまりやうせん)とかは又一つの型のやうに思はれる。 総じて結核性の病に罹(かか)ると神経が雋鋭(しゆんえい)になつて来て、健康な人の目に見えないところも見えて来る。末期になると、病に平気になり、

文字遣い

新字旧仮名

初出

「随筆」1926(大正15)年10月

底本

  • 斎藤茂吉選集 第八巻
  • 岩波書店
  • 1981(昭和56)年5月27日