せんじぎょうべん
賤事業弁

冒頭文

事業を賤(いや)しむといふ事は「文学界」が受けたる攻撃の一なり。而して此攻撃たるや、恐らく余が「人生相渉論」を誤読したるより起りたる者なるべしと思へば、爰(こゝ)に一言するの止むべからざるを信ずるなり。 余は先づ「事業」とは如何(いか)なる者なりやを問はざるべからず。次に文学は「事業」といふ標率を以て論ずべき者なりや否やを、問はざる可からず。 余は文学といふ女神は、寧(むし)ろ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文學界 五號」文學界雜誌社、1893(明治26)年5月31日

底本

  • 現代日本文學大系 6 北村透谷・山路愛山集
  • 筑摩書房
  • 1969(昭和44)年6月5日