そうだんだん(1) |
想断々(1) |
冒頭文
労苦界と戦争 ヱデンの園にアダム、神の禁を破りし時、ヱホバは彼に告げて言ひけるは「汝は一生の間、労苦して其食を得ん」と。蓋(けだ)し労苦の世界は即ち戦争の世界なり。労苦よりして凡悩も利慾も迷盲も生ずるなれ、是等の者は即ち人生の戦争に対する肥糧なり。苟(いやし)くも労苦あらん限り、戦争の精神は尽きぬなる可し。然(しか)れども、 戦争に対する偉人の理想 は、労苦を以て敢て喪敗
文字遣い
新字旧仮名
初出
「平和 一號」平和社(日本平和會)、1892(明治25)年3月15日
底本
- 現代日本文學大系 6 北村透谷・山路愛山集
- 筑摩書房
- 1969(昭和44)年6月5日