せかいかいだんめいさくしゅう 09 ほっきょくせいごうのせんちょう いがくせいジョン・マリスターレーのきいなるにっきよりのばっすい
世界怪談名作集 09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃

冒頭文

一 九月十一日、北緯八十一度四十分、東経二度。依然、われわれは壮大な氷原の真っただ中に停船す。われわれの北方に拡がっている一氷原に、われわれは氷錨(アイス・アンカー)をおろしているのであるが、この氷原たるや、実にわが英国の一郡にも相当するほどのものである。左右一面に氷の面が地平の遙か彼方(かなた)まで果てしなく展(ひろ)がっている。けさ運転士は南方に氷塊の徴候のあることを報じた。もしこれがわ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 世界怪談名作集 下
  • 河出文庫、河出書房新社
  • 1987(昭和62)年9月4日