ほくはのしょろん
北派の書論

冒頭文

清朝の近代即ち道光頃からして、書に南北兩派と云ふことが唱へられて、殊に北派の書が漸々流行し掛けて來た。此の北派の書を唱へ出した人は、多く學問の方から言ふと所謂漢學派(宋學に對する)に屬する人であつて、其の學問も既に當時の流行に乘じて、全盛を極めて居つた所に、又極めて人氣に投じて居る方法に依つて、書の方の議論にまで及ぼして來たから、唱へ始められてから日が淺いにも拘はらず、頗る流行の度が早い。其の中盛

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「大阪朝日新聞」1911(明治44)年3月26日

底本

  • 内藤湖南全集 第八卷
  • 筑摩書房
  • 1969(昭和44)年8月20日