しんさく
神鑿

冒頭文

朱鷺船(ときふね)         一 濡色(ぬれいろ)を含(ふく)んだ曙(あけぼの)の霞(かすみ)の中(なか)から、姿(すがた)も振(ふり)もしつとりとした婦(をんな)を肩(かた)に、片手(かたて)を引担(ひつかつ)ぐやうにして、一人(ひとり)の青年(わかもの)がとぼ〳〵と顕(あら)はれた。 色(いろ)が真蒼(まつさを)で、目(め)も血走(ちばし)り、伸(の)びた髪(かみ)が額

文字遣い

新字旧仮名

初出

「神鑿」文泉堂書房、1909(明治42)年9月16日

底本

  • 新編 泉鏡花集 第八巻
  • 岩波書店
  • 2004(平成16)年1月7日