ゆめ

冒頭文

五月のある晴(は)れた土曜(えう)日の夕方(がた)だつた。いつになく元氕た。 「お帰(かへ)んなさい。——いつたいまあ何(なん)なの? いきなりそんな大きな声(こゑ)をなすつて……」 さうたづねかけながら、奧(おく)さんは女学生(がくせい)らしさのまだ十分にぬけきらない若々(わか〳〵)しいひとみを青木さんに投(な)げかけた。 「いゝ事(こと)、素適(すてき)な事(こと)があるんだ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「旬刊 寫眞報知 第三巻第十二号」報知新聞社出版部、1925(大正14)年4月25日

底本

  • 寫眞報知
  • 報知新聞社
  • 1925(大正14)年4月25日