さんあんざっき
山庵雑記

冒頭文

其一 夢見まほしやと思ふ時、あやにくに夢の無き事あり、夢なかれと思ふ時、うとましき夢のもつれ入ることあり。寤(さ)むる時、亦た斯(かく)の如し、意(おも)はざらんと思ふに意ひ、意はんと思ふに意はず。左(さ)りとて意の如くならぬをば意の如くせまじと思ふにもあらず、静に傾き尽きなんとする月を見れば、よろづ意の儘にならぬものぞなき、徐(おもむ)ろに咲き出(いづ)らん花を待つに、よろづ心に任せぬもの

文字遣い

新字旧仮名

初出

「女學雜誌 三三九號」女學雜誌社、1893(明治26)年2月25日

底本

  • 現代日本文學大系 6 北村透谷・山路愛山集
  • 筑摩書房
  • 1974(昭和44)年6月5日