しなきんせいのこくすいしゅぎ
支那近世の国粋主義

冒頭文

一 支那で國粹保存などいふ事を唱へ出したのは極めて近年のことで、以前には全く無かつたのである。一體かゝる思想は、他國の種類を殊にする文明が俄に侵入し來つて、自國固有の文明が其爲めに破壞されやうとし、或は破壞までは行かずとも、他國の文明の爲め自國の文明が、幾分か光輝を失ひ懸るといふやうな場合に起るものである。 然るに支那は數千年の昔から自國固有の文明を持續し來つて、其根柢に變化を生ず

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「藝文 第貳年第拾號」1911(明治44)年7月、「藝文 第參年第壹號」1912(明治45)年1月

底本

  • 支那學文藪
  • みすず書房
  • 1973(昭和48)年4月2日